弁護士監修|生成AIの著作権Q&Aと主要ツールの利用規約比較
生成AIの著作権問題は、法整備が追いついていない複雑な領域です。「AIが作ったものに著作権はあるの?」「商用利用しても大丈夫?」といった疑問に、現行法と主要ツールの利用規約に基づいてQ&A形式で解説します。
免責事項
本記事は2025年11月時点の情報に基づく一般的な解説です。法的なアドバイスではありません。具体的な案件については弁護士等の専門家にご相談ください。
基本的な著作権Q&A
A. 法的には不明確です。
日本の著作権法では、著作物は「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義されています(著作権法第2条)。AIには「思想」や「感情」がないため、純粋にAIが自律的に生成した作品には著作権が発生しないとする見解が有力です。
ただし、人間がプロンプトで詳細な指示を出し、創作的な関与をした場合は、その人間に著作権が発生する可能性があります。この線引きは現時点で明確ではありません。
A. ツールの利用規約に従えば可能な場合が多いです。
著作権の有無とは別に、各ツールの利用規約で商用利用が許可されているかが重要です。多くのツールでは有料プランで商用利用が認められています。無料プランは非商用に限定されていることが多いため、規約の確認が必須です。
A. 類似性が高い場合は著作権侵害のリスクがあります。
AIは学習データに含まれる作品の影響を受けて出力を生成します。既存の著作物と「類似している」場合、著作権侵害を問われる可能性があります。特に、特定のアーティスト名をプロンプトに含めて生成した場合はリスクが高まります。
A. 元の歌詞の著作権を侵害します。
既存の歌詞には著作権があります。それをAIに入力して新しい曲を作らせても、元の歌詞の著作権侵害となります。オリジナルの歌詞を使うか、AIに歌詞も生成させてください。
A. 法的リスクと倫理的問題があります。
特定のアーティストの画風そのものには著作権は発生しませんが、出力が特定の作品と類似した場合は著作権侵害になり得ます。また、多くのAIツールの利用規約では、特定アーティストの模倣を禁止または推奨しない旨が記載されています。
主要ツールの利用規約比較
主要な生成AIツールの利用規約を比較します。
テキスト生成AI
| 項目 | ChatGPT | Claude | Gemini |
|---|---|---|---|
| 出力の著作権 | ユーザーに帰属 | ユーザーに帰属 | ユーザーに帰属 |
| 商用利用 | 可能(全プラン) | 可能(全プラン) | 可能(全プラン) |
| 入力データの学習 | オプトアウト可 | デフォルトで不使用 | オプトアウト可 |
| 禁止事項 | 違法、有害コンテンツ | 違法、有害コンテンツ | 違法、有害コンテンツ |
画像生成AI
| 項目 | Midjourney | DALL-E 3 | Stable Diffusion | Adobe Firefly |
|---|---|---|---|---|
| 出力の著作権 | ユーザーに帰属(有料) | ユーザーに帰属 | ユーザーに帰属 | ユーザーに帰属 |
| 商用利用 | 有料プランで可 | 可能 | モデルによる | 可能 |
| 売上制限 | $1M超はPro必須 | なし | なし | なし |
| 特記事項 | 無料版は商用不可 | コンテンツポリシーあり | ライセンス要確認 | 商用安全性が高い |
動画・音楽生成AI
| 項目 | Runway | Pika | Suno AI |
|---|---|---|---|
| 出力の著作権 | ユーザーに帰属(有料) | ユーザーに帰属(有料) | ユーザーに帰属(有料) |
| 商用利用 | 有料プランで可 | 有料プランで可 | 有料プランで可 |
| 無料版の権利 | Runwayに帰属 | Pikaに帰属 | Sunoに帰属 |
| 特記事項 | 透かしは有料で解除 | 透かしは有料で解除 | 訴訟リスクあり |
よくある疑問Q&A(応用編)
A. サイトによって対応が異なります。
多くのストックフォトサイトでは、AI生成画像の投稿に制限を設けています。受け入れている場合も「AI生成」のラベル付けが必要なことがほとんどです。各サイトのガイドラインを確認してください。
A. 入力データの取り扱いに注意が必要です。
機密情報や個人情報をAIに入力すると、学習データとして使用される可能性があります。エンタープライズプランやAPI経由での利用では、データが学習に使用されないオプションがある場合が多いです。社内ポリシーと照らし合わせて確認してください。
A. 法的義務は現時点でありませんが、推奨されます。
日本の現行法では、AI生成物であることの表示義務はありません。しかし、消費者保護や倫理的観点から、AI生成物であることを明示することが推奨されています。EUでは今後義務化される方向です。
A. 両者とも著作権を主張しにくい状況になります。
同じプロンプトから同じ出力が生成される場合、どちらにも独自の「創作的表現」があるとは言いにくくなります。実際には、同じプロンプトでも微妙に異なる出力になることが多いですが、理論上はこのような問題が生じ得ます。
A. 人間の創作的関与がある場合のみ可能性があります。
米国著作権局は2023年、AIのみで生成した作品の著作権登録を拒否する方針を示しました。ただし、人間が実質的な創作的関与をした部分については登録の余地があるとしています。日本でも同様の考え方が採用される可能性が高いです。
法整備の動向
日本の動向
文化庁は2024年に「AIと著作権に関する考え方について」を公表し、以下の方針を示しています。
- AIの学習段階:著作権法30条の4により、原則として許諾不要
- AI生成段階:既存著作物との類似性で侵害が判断される
- AI生成物:人間の創作的寄与の程度による
海外の動向
- EU:AI規制法でAI生成物の表示義務を検討中
- 米国:著作権局がAI生成物の登録ガイダンスを策定
- 中国:AI生成物の著作権を認める判例が出始めている
まとめ
生成AIの著作権問題は、法整備が進行中の複雑な領域です。
- 著作権の有無:純粋なAI生成物には著作権が発生しない可能性が高い
- 商用利用:各ツールの利用規約で判断、有料プランが安全
- リスク管理:既存著作物との類似を避け、規約を遵守する
不明点がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。
参考・出典
最終更新: 2025年11月26日 | 情報確認日: 2025年11月